毎月15日刊行の『広報とき』には「新博物館準備だより 学芸員は、いま何してる?」という当館の連載コーナーがあります。新博物館開館に向けた準備や開催イベント、収集資料についてなど、毎回テーマを変えながら、当館学芸員が交代で執筆しています。ここでは、2025年12月号に掲載した学芸員の裏方の仕事について、内容を転載してご紹介します。
広報とき2025年12月号抜粋
「 新博物館準備だより 学芸員は、いま何してる?
第18回 博物館資料を守る学芸員の仕事」
日本では古くから、年の暮れに大掃除をして家中を清め、新年を迎える習慣がありますが、皆さんのお家ではいかがでしょうか。
博物館でも、大切な資料を守るため、収蔵庫や展示ケース内の清掃を行うことは学芸員の重要な仕事の一つです。なぜ、清掃が重要なのでしょうか。資料にとっての大敵はカビと虫です。大敵から資料を守るため、清掃によってカビの栄養源となる埃を払い、紙や木、布などを好む「文化財害虫」を駆除する必要があるためです。
加えて、カビの発生や資料の劣化を防ぐには温度と湿度を一定に保つことも重要になります。そのため、収蔵庫や展示室に温湿度を記録する機器を設置し、常に温湿度の状態を見ながら、空調の調整を行うことも、学芸員の仕事の一つです。
このように、博物館でカビや虫の害から資料を守る対策を「IPM(総合的有害生物管理)」といいます。今から20~30年ほど前までの博物館では、化学薬剤のガスによってカビや虫を殺す「燻蒸」が行われていました。ところが、薬剤が地球環境に悪影響を及ぼすため、徐々に燻蒸が行えなくなり、代わってIPMが導入され、日々の清掃、目視による虫害の管理、温湿度の記録といったアナログな方法によって資料の保存に取り組むことが主流になってきました。とても地道な取り組みですが、休館中の現在も、新館開館後も学芸員の重要な仕事であることに変わりはありません。





